1 ヤシ科の常緑高木。高さは5メートル以上になり、幹は直立し、枝がなく、麻のような毛で覆われる。頂上に群生する葉は長い柄をもち、手のひら状で大きい。雌雄異株。5、6月ごろ、淡黄色の小花を多数つけ、のち、青黒色で球形の実を結ぶ。南九州の原産。材を書斎・亭などの柱や器物に、毛状の棕櫚皮を縄・たわし・ほうきなどに、葉を帽子・敷物・うちわなどの材料に用いる。わじゅろ。すろ。《季 花=夏》
2 紋所の名。1の葉の開いた形を図案化したもの。
出典:青空文庫
・・・そこには四五本の棕櫚の中に、枝を垂らした糸桜が一本、夢のように花・・・ 芥川竜之介「神神の微笑 」
・・・「僕はあの棕櫚の木を見る度に妙に同情したくなるんだがね。そら、あ・・・ 芥川竜之介「彼 」
・・・芝生のはずれには棕櫚の木のかげに、クリイム色に塗った犬小屋があり・・・ 芥川竜之介「白 」