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・・・(私は全体何をたずねてこんな気圏の上の方、きんきん痛 私はひとりで自分にたずねました。 こけももがいつかなくなって地面は乾いた灰いろの苔で覆われところどころには赤い苔の花もさいていました。けれどもそれはいよいよつめたい高原の悲痛・・・
宮沢賢治
「インドラの網」
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・・・然るに今日は既にビジテリアン同情派の堅き結束を見、その光輝ある八面体の結晶とも云うべきビジテリアン大祭を、この清澄なるニュウファウンドランド島、九月の気圏の底に於て析出した。殊にこの大祭に於て、多少の愉快なる刺戟を吾人が所有するということは・・・
宮沢賢治
「ビジテリアン大祭」