・・・ところがあらゆるものの分割の終局たる分子の大きさは水素が、 〇、〇〇〇〇〇〇一六粍 砂糖の一種が 〇、〇〇〇〇〇〇五五粍 というように計算されていますから私共は分子の形や構造は勿論その・・・ 宮沢賢治 「手紙 三」
・・・酸素や水素は液体にはならねえという。ならねえという間はその積りで遣っている。液体になっても別に驚きゃあしねえ。なるならなるで遣っている。元子は切ったり毀したりは出来ねえ。Atom は atemnein で切れねえんだという。切れねえという間・・・ 森鴎外 「里芋の芽と不動の目」
・・・硫化水素でも出したか知らぬが、硫酸は出すまい。」こう云てしまって、ふと原文を見る気になってゾフィインアウスガアベを出して見た。すると「シュウェエフェルスタンク・ウント・ゾイレ」と書いてあって、「硫黄の臭と酸と」と云うことになっている。硫酸で・・・ 森鴎外 「訳本ファウストについて」
出典:青空文庫