・・・ 一方に池田小菊氏の「札入」がある。他方に尾崎一雄氏の「暢気眼鏡」がある。その中央に、この二人の作家に直接間接影響をもっている志賀直哉氏の生き方と芸術的境地とを置いて考えると、池田氏、尾崎氏、それぞれ志賀的完成をあばいてもっと生々し・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
・・・伊東忠太博士、池田成彬、後藤新平、平田東助等の青年時代、明治の暁けぼのの思い出の一節はその塾にもつながっていたらしい話である。 父は死に到る迄死ぬことを考えない活気で若々しく活動していた人であった。最後の一年ばかり前、或る海岸で珍しく父・・・ 宮本百合子 「明治のランプ」
・・・介錯は池田八左衛門であった。内藤がことは前に言った。太田は祖父伝左衛門が加藤清正に仕えていた。忠広が封を除かれたとき、伝左衛門とその子の源左衛門とが流浪した。小十郎は源左衛門の二男で児小姓に召し出された者である。百五十石取っていた。殉死の先・・・ 森鴎外 「阿部一族」
出典:青空文庫