・・・この綿打ち作業は一度も見たことはないが、話に聞いたところでは、鯨の筋を張った弓の弦で綿の小団塊を根気よくたたいてたたきほごしてその繊維を一度空中に飛散させ、それを沈積させて薄膜状としたのを、巻き紙を巻くように巻いて円筒状とするのだそうである・・・ 寺田寅彦 「糸車」
・・・ 岩塩の縞の数から沈積期間の年代の推算をした人もあるが、これにも多くの疑問が残されるであろう。砂岩や凝灰岩の縞なども、やはりこれらと連関して徹底的に研究さるべき題目であろう。 岩石に関してはまだ皺襞や裂罅の週期性が重要な問題になるが・・・ 寺田寅彦 「自然界の縞模様」
・・・それからもう一度ロプ・ノールへ行ってよく観察して見ると、水がきわめて浅くそうしてだんだんに沈積物で埋まりつつあるらしく見えた。そこから砂漠を北に横ぎって行くうちに偶然都市の廃趾らしいものを発見した。それが昔の楼蘭であることは発掘の文書で明ら・・・ 寺田寅彦 「ロプ・ノールその他」
出典:青空文庫