・・・乞食であろうと国王であろうと、人間の病気とその苦悩、治癒と死の過程は、ひとしく人類の通る道です。しかし、病気そのものは一つでも、それをとりまく人生の道具だては、同じロンドンの空の下で、乞食と国王とでは何たるちがいでしょう。『乞食から国王まで・・・ 宮本百合子 「生きるための協力者」
・・・も、素朴だけれども、結核の治癒の可能についての、明るい善意がある。二篇とも、ストレプトマイシンが無料で闘病者のベッドに訪れて来る日を待っているのは、心をうたれる。ストレプトマイシンが療養所でつかわれる日を「何日かは春に」と待っているひとは、・・・ 宮本百合子 「『健康会議』創作選評」
・・・は防がれ治癒されなければならないと考えている。そのための必要な文学行動はとりもなおさずジャーナリズムを支配しようとしているのと本質においてはひとしい巨大資本による挑発とたたかって理性を防衛する行動であるという実質を理解して来ている。生物学者・・・ 宮本百合子 「五月のことば」
・・・自然の治癒力について私は自分の経験から或理解をもって居りますし、あなたという方をも亦更によく理解して居りますから。根本的には安心立命して居ります。それから私の体のことを、この間うちはとやかく御心配かけ、すみませんでした。目下好調子です。小説・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
出典:青空文庫