・・・ あるいはたまたま豊に生活して多少の余財ある者もあるべしといえども、その財は、本人が教育上に授けられたる芸能を天下の殖産社会に活用して得たる財にはあらずして、幸に官途に用いられ、さしたる用もなけれども、きまりの俸給に衣食して、少々ずつそ・・・ 福沢諭吉 「慶応義塾学生諸氏に告ぐ」
・・・五十韻は日本語を活用する文法の基にして、いろははただ言葉の符牒のみ。 この符牒をさえ心得れば、たといむつかしき文法は知らずとも、日用の便利を達するに差支えはなかるべし。文法の学問、はなはだ大切なりといえども、今日の貧民社会、まず日用を便・・・ 福沢諭吉 「小学教育の事」
・・・学業を勤むるにも、これを勤めてその行く先は、所得の芸能を人事のいずれの辺に活用して如何なる生計を営むべしと、おおよそその胸算を立つることも難からず。かつ今日は、世禄の家なくして労働の身あるのみ。労すればもって食うべし、逸すればもって飢ゆべし・・・ 福沢諭吉 「成学即身実業の説、学生諸氏に告ぐ」
『西洋事情外篇』の初巻にいえることあり。「人もしその天与の才力を活用するにあたりて、心身の自由を得ざれば、才力ともに用をなさず。ゆえに世界中、なんらの国を論ぜず、なんらの人種たるを問わず、人々自からその身体を自由にするは天道・・・ 福沢諭吉 「中元祝酒の記」
・・・山の岩石の構造の相違やそこを登攀する技術の相違や雪の質、氷河の性質等に就いてカメラがもっと科学的に活用されていたらばあれだけの長さの内容をもっと豊富にし得たであろう。 ソヴェト同盟のシュミット博士一行の極地探険の記録映画は誠に感銘深いも・・・ 宮本百合子 「イタリー芸術に在る一つの問題」
・・・で読者は直接農民委員会、または部落委員会の組織を試みたプロレタリア作家を見たのであるが、プロレタリア作家のオルグ的活動の面はさらに多面であり、作家としての技術を組織的活動に直接活用し得る面も数多くある。それはサークル活動である。「樹のない村・・・ 宮本百合子 「一連の非プロレタリア的作品」
・・・ そのなりゆきを序す筆の達者さ、巧な人物の描写法、活用法に一つ一つ独立させて、異った時に読めばあきる事をしらないのである。 いかにも、上手に書かれてあると思う。 けれ共、二つ三つと、よし異った形式、事柄でも、よんで居るうちに何と・・・ 宮本百合子 「紅葉山人と一葉女史」
・・・ 一つのいい知慧があれば、プロレタリアート・農民の建設的社会ではそれを出来るだけ大勢の役に立て、みんながそのいい知慧をわがものとして活用するように! 所謂社会主義競争の本質的な基礎教育が、既に小学校のうちに与えられる訳なのだ。 階級・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェト同盟の文化的飛躍」
・・・今そこは、豊富な天然資源を百パーセント社会主義生産に活用して、世界唯一つの社会主義国家の威力を資本主義に対して確立しようとしているのである。 だから自覚あるソヴェトの勤労者は勿論、十一歳のピオニェールさえ知っている。五ヵ年計画の達成は、・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・ 自然科学の真理そのものが、直ちにそのもので階級的真理ではないにしろ、科学的真理を現実の社会に活用してゆく力の階級性――それが幸福をねがい、平和をねがい、よき人生を求めている世界の働く人民であるか、それともありあまる富と権力とによってさ・・・ 宮本百合子 「質問へのお答え」
出典:青空文庫