・・・古い一例を挙げれば清和天皇の御代貞観十六年八月二十四日に京師を襲った大風雨では「樹木有名皆吹倒、内外官舎、人民居廬、罕有全者、京邑衆水、暴長七八尺、水流迅激、直衝城下、大小橋梁、無有孑遺、云々」とあって水害もひどかったが風も相当強かったらし・・・ 寺田寅彦 「颱風雑俎」
・・・敷 高き樹は緑の陰を敷き草嫩堪レ充レ茵 草は嫩く茵に充るに堪う葭短不レ碍レ舸 葭は短く舸も碍げず撥二百冗一以遊 百冗を撥りて以て遊ぶ 中略 中略清和属二首夏一 清和は首夏に属す・・・ 永井荷風 「向嶋」
・・・書簡に曰く一春風馬堤曲余幼童之時春色清和の日には必ず友どちとこの堤上にのぼりて遊び候水には上下の船あり堤には往来の客ありその中には田舎娘の浪花に奉公してかしこく浪花の時勢粧に倣い髪かたちも妓家の風情をまなび○伝しげ太夫の心中のう・・・ 正岡子規 「俳人蕪村」
出典:青空文庫