[形][文]な・し[ク]
  1. 物事存在しない。「あやしい節は—・い」「読書に飽きることは—・い」

  1. 持っていない。「金が—・い」「子供が—・い」「信用が—・い」「品が—・い」「魅力が—・い」

  1. 時間数量などが、その表示された数に達していない。「開演まで五分も—・い」「海岸まで一〇〇メートルと—・い」

  1. 気持ちをもたない。心がはっきりしていない。「正体—・く酔っている」「まるでやる気が—・い」

  1. 経験していない。「見たことが—・い」

  1. 同じ物が二つと存在しない。類がない。「またと—・い珍品

  1. (「亡い」とも書く)すでに死んで、この世にいない。「母の—・い子」「私は—・い者と考えてください」

  1. 留守である。不在である。

    1. 「老いらくの来むと知りせば門さして—・しと答へて逢はざらましを」〈古今・雑上〉

    1. ㋐形容詞型・形容動詞型活用の語の連用形に付いて、打消しの意を表す。「あの映画はおもしろく—・い」「そんな話は聞きたく—・い」「後悔なんて君らしくも—・い」「人が言うほどきれいで—・い」「申し出は受け入れられそうに—・い」「見た目ほど忙しいようでは—・い」

    2. ㋑(「…ないではない」「…ないこともない」などの形で)すっかり否定しきらないで、いくらかは認めるさま。「言い分はわからないでも—・い」「条件によっては承知できないことも—・い」

    3. ㋒(「…ではないか」などの形で)確認したり念を押したりする意を表す。「あれほど説明したでは—・いか」「やればできるじゃ—・いか」

    4. ㋓(「…しようではないか」などの形で)勧誘したり催促したりする意を表す。「ともに頑張ろうでは—・いか」「やってみせようじゃ—・いか」

    5. ㋔(「…のではない」などの形で)否定禁止の意を表す。「人をからかうものでは—・い」「頭で覚えるんじゃ—・い、からだで覚えるんだ」

    6. ㋕(「…ともなく」などの形で)はっきりしないままそれが行われるさま。「聞くとも—・く話を聞く」「降るとも—・く降り続く雨」

    7. ㋖(「お…でない」などの形で)禁止の意を表す。「調子に乗っておふざけで—・い」

  1. 10 名詞に付いて、否定の意を含む形容詞をつくる。「こころ—・い」「違い—・い」「面目 (めんぼく) —・い」

[派生]なげ[形動]なさ[名]

出典:青空文庫

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