・・・空想し易く、ものを見るのに比較的無差別であり、何ものにも同情し易いからにもよるが、それにしても、いろいろな意味で、境遇に従って話の題材を選ぶことは自然であると考えられるからです。また、題材の如何が、子供達に与える興味に関係することも勿論であ・・・ 小川未明 「童話を書く時の心」
・・・―― 母性は非常に本源的なものであるが、それだけに無差別な横溢はしないものであると感じられる。しんから打込んだ男の子こそ生みたいのが母性の永遠の欲求である。過去の日本における結婚が女の生涯を縛りつけた重みの中には、生まされた子を育てると・・・ 宮本百合子 「「或る女」についてのノート」
・・・観念としてより強く高くと欲求されているのも、それは決して無差別な「哲学」「観念」ではなくて現実にわれわれの歴史がおもてをつき合わしている民主主義革命についての見とおしある観念、「どう生きてゆくか」についての判断、行動にプラスを加えるものとし・・・ 宮本百合子 「その柵は必要か」
・・・率直に云って、今の日本の無差別な復古調は、女の中から女を或る意味で行燈のかげへ呼びもどす傾向をかもし出していると思う。昔ドイツのカイゼルが三つのKと云った言葉はヒットラーの代になって子持の母への賞金とか独身税とかになって現れている。日本では・・・ 宮本百合子 「日本の秋色」
出典:青空文庫