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・・・ 最後の汽車と騎馬との追っ駆けは、無音映画としてはあまりに陳套な趣向であるが、しかしあの機関車の音と画像と、馬のひづめの音と足掻きの絵との加速度的なフラッシュ・バックにはやはりちょっとすぐにはまねのできない呼吸のうまみがあるようである。・・・
寺田寅彦
「音楽的映画としての「ラヴ・ミ・トゥナイト」」
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・・・博士問題に関して突然余の手元に届いた一封の書翰は、実にこの隠者が二十余年来の無音を破る価ありと信じて、とくに余のために認めてくれたものと見える。 下 手紙には日常の談話と異ならない程度の平易な英語で、真率に余の学・・・
夏目漱石
「博士問題とマードック先生と余」