・・・ と声がかかったほどの熱演で、熱演賞として湯呑一個もらった。露払いをすませ、あと汗びしょのまま会の接待役としてこまめに立ち働いたのが悪かったのか、翌日から風邪をひいて寝こんだ。こじれて急性肺炎になった。かなりいい医者に診てもらったのだが、ぽ・・・ 織田作之助 「雨」
・・・阪妻はヤニングスみたいな熱演で、私は阪妻に同情したが、しかし、いいとは思えなかった。阪妻に対する不満ではない。「無法松」という映画に対する不満である。どこがいいのか、私には、さっぱりわからなかった。傑作意識を捨てなければならぬ。傑作意識とい・・・ 太宰治 「芸術ぎらい」
・・・ストリンドベリイなども、ときどき熱演のあまり鬘を落して、それでも平気で大童である。 女が描けていない、ということは、何も、その作品の決定的な不名誉ではない。女を描けないのではなくて、女を描かないのである。そこに理想主義の獅子奮迅が在る。・・・ 太宰治 「女人創造」
帝劇で復活を観た。一九三〇年にモスクワ芸術座で上演された方法で演出された。 つよく印象にのこったこと。 カチューシャに扮した山口淑子は熱演している。各場面ごとに、その場面の範囲内で。このことは、女優としての山口淑子・・・ 宮本百合子 「復活」
出典:青空文庫