・・・ いろんな国の品物のいろいろな面白さのよろこびで一つ二つのものが、家のあちこちにひょい、ひょいとあるのは自然にうけられるけれど、家具調度一式琉球とか朝鮮とかいうところのもので埋める趣味があるとすれば、その一つ一つがもっている美しさとは、・・・ 宮本百合子 「生活のなかにある美について」
・・・ やきものの山羊は父が昔くれたもの。嘗て柳行李のなかから、紺絣の着物や、目醒し時計と一緒くたに出て来たガラスのペン皿は、わったりしたくないと思ってつかっている。 琉球のある女のひとがくれた一対の小さい岱赭色の土製の唐獅子が、紺色の硯・・・ 宮本百合子 「机の上のもの」
・・・東京、大阪が最も密度濃いのは当然として、百世帯加入数辛うじて六以下という、ブランクによって示されている地方は、日本に於て、東北では青森、岩手の二県と、九州の突端の二つの県宮崎、鹿児島、琉球等のみである。 工業部門の職業でのラジオ加入は、・・・ 宮本百合子 「「ラジオ黄金時代」の底潮」
出典:青空文庫