・・・事件の再調査を申請して来たのである。その二年前に、勝治は生命保険に加入していた。受取人は仙之助氏になっていて、額は二万円を越えていた。この事実は、仙之助氏の立場を甚だ不利にした。検事局は再調査を開始した。世人はひとしく仙之助氏の無辜を信じて・・・ 太宰治 「花火」
・・・もうあと二人足りないけれども定員を超えたことにして県へは申請書を出したそうだ。ぼくはもう行ってきっとすっかり見て来る、そしてみんなへ詳しく話すのだ。一九二五、五、一八、汽車は闇のなかをどんどん北へ走って行く。盛岡の上のそ・・・ 宮沢賢治 「或る農学生の日誌」
・・・ぼくは工作隊を申請しよう。」 老技師は忙しく局へ発信をはじめました。その時足の下では、つぶやくようなかすかな音がして、観測小屋はしばらくぎしぎしきしみました。老技師は器械をはなれました。「局からすぐ工作隊を出すそうだ。工作隊といって・・・ 宮沢賢治 「グスコーブドリの伝記」
・・・「これは、裁判は証拠中心主義のものであって、公判において証人尋問を申請し、尋問することは重要なことである。この際A証人がのべた内容と、検事側の主張するB証人の陳述内容とが異るとき、この何れかは偽証罪となる。検事側の主張するB証人の内容が正し・・・ 宮本百合子 「それに偽りがないならば」
出典:青空文庫