・・・良人がいる生活の中では、男手一つにしろ何とかなるものが、女世帯となってますます男手がいるとき、そういう協力は自然にへってしまう。それは何と情けないことだろう。未亡人の生活になげられたのは、明朗な社会的な協力というよりも、親族的な配慮であり、・・・ 宮本百合子 「明日をつくる力」
・・・だけれども、男手が再び出来たとき、今バスを運転している娘さんたちの暮しは、どんな形でそこから更に変化してゆくのであろうか。 乱菊 近所の住っている友達のところへ行った帰り、つれ立って市場へ買ものにまわろうとして・・・ 宮本百合子 「この初冬」
・・・食糧の計画的生産、計画的配給は日本では手後れに計画されて、しかも各生産部門における能率低下の原因と反比例する増産の必要に追立てられた。男手を失った農村の婦人達が、割当だけの供出量を生産して軍需を充たし、なお自分のところへ幾らかの余剰を残すた・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
出典:青空文庫