・・・ と異な声で、破風口から食好みを遊ばすので、十八になるのを伴れて参りました、一番目の嫁様は来た晩から呻いて、泣煩うて貴方、三月日には痩衰えて死んでしまいました。 その次のも時々悲鳴を上げましたそうですが、二年経ってやっぱり骨と皮・・・ 泉鏡花 「政談十二社」
・・・万一異なところから木理がハネて、釣合を失えば、全体が失敗になる。御前でそういうことがあれば、何とも仕様は無いのだ。自分の不面目はもとより、貴人のご不興も恐多いことでは無いか。」 ここまで説かれて、若崎は言葉も出せなくなった。何の道にも苦・・・ 幸田露伴 「鵞鳥」
・・・その時老人の言葉に、菫のことをば太郎坊次郎坊といいまするから、この同じような菫の絵の大小二ツの猪口の、大きい方を太郎坊、小さい方を次郎坊などと呼んでおりましたが、一ツ離して献げるのも異なものですから二つともに進じましょう、というのでついに二・・・ 幸田露伴 「太郎坊」
・・・そういうちょっと異なものがあったから、古く保食神即ち稲荷なども勧請してあったかも知れぬ。ところが荼吉尼法は著聞集に、知定院殿が大権坊という奇験の僧によりて修したところ、夢中に狐の生尾を得たり、なんどとある通り、古くから行われていたし、稲荷と・・・ 幸田露伴 「魔法修行者」
出典:青空文庫