・・・入し、然かも之を居家処世の実際に適用す可しと言う非常の大変化にして、所謂世道人心の革命とも見る可きものなるに、其民法の草案は発布前より早く流布して広く世人の目に触れたるにも拘わらず、其規定に対して曾て異論を唱うるものなきのみか、十二議会には・・・ 福沢諭吉 「新女大学」
・・・橋本英吉が『ナップ』へ三ヵ月ばかり批評を書き、個々の点では異論あるとしても、態度で、われわれに多くのものを教えた。〔一九三一年七月〕 宮本百合子 「こういう月評が欲しい」
・・・ら今日まで、既に五十一年の歳月を経、しかも一九一七年以後には、人類の歴史がその一部を書きかえられた程、社会的に巨大な発展を遂げている今日、ツルゲーネフをロシア散文家中最大の芸術家とするには、当然多くの異論を生じるのである。 しかしながら・・・ 宮本百合子 「ツルゲーネフの生きかた」
・・・山本有三氏の芸術を愛する者の心情は或は菊池寛氏の腰を据えた常識を愛する者の気分より現代の日本に貢献するところが多いかもしれないにかかわらず、山本氏は「一部の異論」で芸術院会員になれなかった。それらの現実にむき出されている矛盾が、おのずから、・・・ 宮本百合子 「矛盾の一形態としての諸文化組織」
出典:青空文庫