・・・そしていよいよ当日となったらあなたがたの職場、村、町でどんな大衆の示威が行われ、人がどれだけ加わり、あなた自身はそれにどう参加したか? それらをすべての『文新』婦人読者は編輯局へ通信しなければならない。そしてそれをきっかけに婦人通信員になっ・・・ 宮本百合子 「婦人読者よ通信員になれ」
・・・の広場に飾られてるような大骨板張の大労働者像、一九三〇年のメーデーに赤い広場に飾られた大群像、または示威運動の張りものみたいな非写実的な、応用美術の方が手に入ってる。日本で労働運動はそのような祝祭の張りものを求める状態にはまだなっていない。・・・ 宮本百合子 「プロレタリア美術展を観る」
・・・ ちょうど、赤字穴埋め策として立てた政府の官吏減俸案に反対し全国的官吏の未曾有の示威が行われている最中である。「文戦」の分裂があってから十数日だ。 日本の社会一般は歴史的意味を帯びた情勢だった。しかも、この第三回大会は自身独特の・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
・・・ということは、かつてベルリン・オリンピックのとき、軍国主義日本が示した国威発揚的示威に正しい批判をもつこんにちの日本青年は、世界平和のためにこそ、平和日本のためにこそ、世界の民主的青年とともに競技するものであるという態度を明確にする以外にな・・・ 宮本百合子 「ボン・ボヤージ!」
・・・政府はロシアばかりか外国でまで行われたゴーリキイ死刑反対の大示威運動におどろいて、余儀なく釈放したのであった。 不幸なロシア人民の解放運動資金を集めるためにゴーリキイは次の年アメリカへ講演旅行に出かけた。ツァーの秘密警察は手を廻してゴー・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの人及び芸術」
・・・久米正雄氏が嘗て美しい夫人を伴ってアメリカ人と肩を並べ悠々漫歩したパリのヴルールには、きょう、その時分にはなかった種類の示威行列がねっているそうである。与謝野晶子、藤村などが詩を語って、思い出の中にまざまざ生かしているであろうカフェー・リラ・・・ 宮本百合子 「「迷いの末は」」
・・・歩道には、市内各署の特高のスパイが右往左往して日頃目星をつけている人物を監視したり今にもひっぱりそうな示威をしたりしている。おとなしく立っている女ばかり数人の私たちでさえ、いやな気がしてじっと一つところにはいられなかったほど、胡散くさい背広・・・ 宮本百合子 「メーデーに歌う」
・・・結局物質的な実力を誇るしかなかったし、その一つの示威運動として妻や娘を飾り立てずにはおられなかったろうし、妻達もいわゆる大名方の夫人達に対抗して、庶民であるが故に大袈裟な物見遊山の行列もつくれるし、芝居見物も出来るし、贔屓役者と遊ぶことも出・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
・・・ ニューヨークなどを通りますと、よく自動車に乗って旗をふりかざして行く、徴兵募集の示威運動になどあったものでした。 アメリカの少女達はそりゃ可愛いんですよ。そして活溌ですの。私達日本の少女のように臆病なほどはにかむようなことは決して・・・ 宮本百合子 「わたくしの大好きなアメリカの少女」
・・・を感じさせる。だけれども、科学者の仕事を通じて、たとえば原子力を文明が脅威をうけるものとしたのは、「資本」である。「科学上の発見の驚異」は巨人的な資本の脚によって運ばれ、忽ち「科学生産力の驚異」を示威する段階に立ち至った。科学は非人間的であ・・・ 宮本百合子 「私の信条」
出典:青空文庫