・・・「その証拠は彼が私と二人で、ある日どこかの芝居でやっている神風連の狂言を見に行った時の話です。たしか大野鉄平の自害の場の幕がしまった後だったと思いますが、彼は突然私の方をふり向くと、『君は彼等に同情が出来るか。』と、真面目な顔をして問い・・・ 芥川竜之介 「開化の良人」
・・・この大きな神風にあっては森の中の木という木はみななびき伏しました。その中で一本のわかい松も幹をたわめて、寄るべないこのおかあさんの耳に木のこずえが何かささやきました。しかしておかあさんがむすめを抱かないほうの手を延ばしてその枝をつかむと、松・・・ 著:ストリンドベリアウグスト 訳:有島武郎 「真夏の夢」
・・・オリムピック。神風の快翔。いずれも大衆のラジオに対する親密さを増大させたに相異ない。だがオリムピックのニュース及びオリムピック東京招致前後の空気その他、微妙な或る刺戟が大衆の自然な関心に加えられていたことは争われない。生活の楽しさ、世界のひ・・・ 宮本百合子 「「ラジオ黄金時代」の底潮」
出典:青空文庫