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・・・ こうして、追っ払われた支店長は二三に止まらず、しかも、悪辣なる丹造は、その跡釜へ新たに保証金を入れた応募者を据えるという巧妙な手段で、いよいよ私腹を肥やしたから、路頭に迷う支店長らの怨嗟の声は、当然高まった。 ある支店長のごときは・・・
織田作之助
「勧善懲悪」
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・・・音楽家はそれらの人々の私腹を肥すことに努力することによって、辛うじて演奏にありついて来たのである。 ところが、相手はそんな庄之助を見て、あっけに取られてしまった。「さすが大阪の奴は、金のことにかけると汚いわい」 と、思ってみたり・・・
織田作之助
「道なき道」