・・・ぜず 対牛楼上無状を嗟す 司馬浜前に不平を洩らす 豈翔だ路傍狗鼠を誅するのみならん 他年東海長鯨を掣す 船虫閉花羞月好手姿 巧計人を賺いて人知らず 張婦李妻定所無し 西眠東食是れ生涯 秋霜粛殺す刀三尺 夜月凄涼たり笛一枝 天・・・ 内田魯庵 「八犬伝談余」
・・・ たゞ人生の意義は、たゞちに、美と正義に向って突き進む力の中にだけ見出されなければならぬ。そして、それ以外には、恐らく、見出されないものだろう。 秋霜にひしがれ枯れた、名もない草は、早くも、来年の夏を希望する。そして、その刹那から人・・・ 小川未明 「名もなき草」
・・・これを一読するに、温乎として春風のごとく、これを再読するに、凜乎として秋霜のごとし。ここにおいて、余初めて君また文壇の人たるを知る。 今この夏、またこの書を稿し、来たりて余に詢るに刊行のことをもってす。よってこれに答えて曰く。この文をも・・・ 田口卯吉 「将来の日本」
出典:青空文庫