・・・これがなければ学校へ通われぬと言うのではない。科目は教師が黒板に書いて教授するのを、筆記帳へ書取って、事は足りたのであるが、皆が持ってるから欲しくてならぬ。定価がその時金八十銭と、覚えている。 七 親父はその晩、・・・ 泉鏡花 「国貞えがく」
・・・「時間を減らして、その代りあまり必須でない科目を削るがいい。『世界歴史』と称するものなどがそれである。これは通例乾燥無味な表に詰め込んだだらしのないものである。これなどは思い切って切り詰め、年代いじりなどは抜きにして綱領だけに止めたい。・・・ 寺田寅彦 「アインシュタインの教育観」
・・・ ベルリン着早々、中村気象台長からの紹介状をもってヘルマン教授を尋ね聴講科目などの指導を仰いだ。結局第一学期には、プランクの「物理学の全系統」ヘルマンの「気象器械の理論と用法」並びに「気象輪講」ルーベンスの「物理輪講」アドルフ・シュミッ・・・ 寺田寅彦 「ベルリン大学(1909-1910)」
・・・ 単に普通教育、中等教育の内容全体がそうであるのみならず、その中のある一つの科目の教科書がまたそれぞれにレビュー式である。読本をあけて見る。ありとあらゆる作者のあらゆる文体の見本が百貨店の飾棚のごとく並べられてある。今の生徒は『徒然草』・・・ 寺田寅彦 「マーカス・ショーとレビュー式教育」
・・・一、前条の外に、化学、天文学等、種々の科目あれども、窮理学の中に属するものなれば別に掲げず。一、学問の順序は、必ずしもこの一科を終りて次に移るにあらず、二科も三科も同時に学ぶべし。一、漢字を知らざれば、原書を訳するにも訳書をよむ・・・ 福沢諭吉 「学校の説」
・・・ 私は何だか修身にしても変だし頭がぐらぐらして来たのでしたが、この時さっき校長が修身と護身とが今学年から一科目になって、多分その方が結果がいいだろうと云ったことを思い出して、ははあ、なるほどと、うなずきました。 先生は「武巣さん・・・ 宮沢賢治 「茨海小学校」
・・・はる子は已を得ず学歴のことだの、専攻したという科目だのについて書いた。 ×夫人のところで不規則ながら収入のある仕事が与えられたという手紙が千鶴子から来た。間もなく使に出た家のものが、「すぐそこで小畑さんにお目にかかりましたよ」と・・・ 宮本百合子 「沈丁花」
・・・その基準で、いわゆる家事科目を中心とした、女子教育の基準が決定されたのであった。これが今日まで女子教育方針の根柢をなしている。そのために外形上、女子大学、専門学校等が出来、何人かの婦人弁護士と、より多数の女医、沢山の女教師が出ている今日でも・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
出典:青空文庫