・・・上は大名たちより、下は有福の町人に至るまで、競って高慢税を払おうとした。税率は人が寄ってたかって競り上げた。北野の大茶の湯なんて、馬鹿気たことでもなく、不風流の事でもないか知らぬが、一方から観れば天下を茶の煙りに巻いて、大煽りに煽ったもので・・・ 幸田露伴 「骨董」
・・・ 千八百円ベースが公称二千九百円になれば税率も高く、いろいろの給与が包括されてしまって、若い人は結局千八百円よりかえって少ししかとれなくなるのですから。 同じ婦人民主新聞に、G・H・Qの労働課長シュークリフ女史が、今年義務教育を終った十・・・ 宮本百合子 「新しい卒業生の皆さんへ」
・・・一、その後の税率は、集団農場の全収入を集団農場員の頭割にして、その額がその地方の個人経営の農民の平均収入より少なかった場合は免除。多かったら、個人経営の農民の払う税の三割から六割減の率で払う。一、集団農場員が冬の間に入用な薪を切り出・・・ 宮本百合子 「今にわれらも」
・・・あらゆる形で大衆課税がとりたてられ、たとえ所得税の税率がいくらか引き下げられたとしても、汽車賃の二倍半までの増額、公定価格の七割ほどの引上げ、通信料の四倍、煙草の二割から八割の値上げは、あらゆる家計を破綻させている。とくに本年度の悪質大衆課・・・ 宮本百合子 「今日の日本の文化問題」
・・・そして、政府は、日本の人民所得額は戦前の百倍と査定しているのに税率は百二十六倍になっています。このひらきを、私たちはどうやりくって来たのでしょう。ここに人間業と思われないような辛苦があるわけです。 生めよ、ふやせよと叫ばれた婦人が、きょ・・・ 宮本百合子 「婦人大会にお集りの皆様へ」
出典:青空文庫