・・・ 民間に学校を設けて人民を教育せんとするは、余輩、積年の宿志なりしに、今、京都に来り、はじめてその実際を見るを得たるは、その悦、あたかも故郷に帰りて知己朋友に逢うが如し。おおよそ世間の人、この学校を見て感ぜざる者は、報国の心なき人という・・・ 福沢諭吉 「京都学校の記」
・・・ ソヴェト同盟における新しい内容での一夫一婦制の確立は、男女の日常生活に作用する社会関係全体が、彼ら自身の犠牲多い積年の努力で健康な土台の上に組み直されて始めて、現実の可能となったのであった。 日本の解放運動は、広く知られているとお・・・ 宮本百合子 「新しい一夫一婦」
・・・その原因は、個性と文学の発展の可能の源泉として、日本の民主主義文学の伝統が、積年の苦難を通してたえず闡明してきた文学における客観的な社会性の意義を、会得していなかったからである。文学において謙虚にまた強固に自己を大衆のなかなるものとして拡大・・・ 宮本百合子 「歌声よ、おこれ」
出典:青空文庫