・・・これは日本の政府が自分自身の組織の中に、あいまいな条件におかれている多くの政治家をもっているために、戦争の責任者の究明をごく申訳け的に行っている事情に呼応するものです。 雑誌編集者も作家自身も、戦争協力に対する責任の追求が、政府のがわか・・・ 宮本百合子 「一九四七・八年の文壇」
・・・この作品は、さっきから触れてきている社会発展の歴史と個人との有機的な関係の問題の究明をテーマとしている点で注目をひかれました。この野間という作者が、とくに興味のあるのは、その課題を、高見順のように主観的にも『近代文学』のグループの傾向のよう・・・ 宮本百合子 「一九四六年の文壇」
・・・決議は根本において、発表の時機によって、その価値を左右されない確乎たる党派性と科学的究明との上に立ってなされたものである。同志小林の功績は、実にプロレタリア文学運動におけるその如き党派性、その如き科学性の確立のために、決議の作成へまで発展的・・・ 宮本百合子 「前進のために」
・・・僕は弁護人諸君はただ単に弁護人だけにとどまらず、本当に日本の民主主義をまもり、憲法を擁護する人民のえらばれた検察官としてあの被告たちの真相をてってい的に究明してそして自分の前に謝罪せしめるように、どうかわれわれに御協力願いたい。」 被告・・・ 宮本百合子 「それに偽りがないならば」
・・・たしまれている作家ステファン・ツワイグなどは、ドイツのレマルクフランスのアンリ・バルビュスマルチネアメリカのドライサア、アプトン・シンクレア、ルイスその他の作家たちと共に心から平和を欲し、戦争の原因を究明しその社会的原因をそれぞれの国におい・・・ 宮本百合子 「それらの国々でも」
・・・文化の姿としてその点での大局からの究明がされてこそ初めて男の作家の社会性のひろさ、確さも云い得るのである。それに、現代文学の現実のなかではあらましに、婦人作家と総括は出来ず、婦人作家の中にも、社会的な芸術の素質でそれぞれこまかい相異がある。・・・ 宮本百合子 「地の塩文学の塩」
・・・同志小林がこの点を記念碑的作品の全篇中にどう活かし得ているかということを究明することに、プロレタリア文学の次の発展への重大な歴史的モメントがかくされていると思うのである。 四 全然対蹠的な主題を扱った小説と・・・ 宮本百合子 「同志小林の業績の評価によせて」
・・・文芸評論でいわゆる日本的なものの本質の究明とエセヒューマニズムとの闘いが意図された。この年の一月目白三ノ三五七〇の家に引越した。一九三一年の秋の末から、段々宮本と会うことの多くなった頃住んでいた家が、じきそばにあった。新しく引越した家は・・・ 宮本百合子 「年譜」
・・・術的な具体的内容は、常に我々にとって尽きぬ興味の源泉であるが、中でも卓越した少数の世界的作家の制作的生涯というものは、後代、文学運動の上に何かの意味で動揺・新たな方向への模索が生じた時期に、必ず改めて究明・再評価の対象として広汎な読者大衆の・・・ 宮本百合子 「バルザックに対する評価」
・・・明日の婦人の創造力成長への課題は主にこの点への究明にかかっていると思われるのである。 日本の婦人の生活と文化の問題も、この頃は右のような点できわめて複雑なあらわれを示していると思う。たとえば昭和十四年度の日本文学の総決算を一読した人々は・・・ 宮本百合子 「婦人の文化的な創造力」
出典:青空文庫