出典:青空文庫
・・・これまた笑止千万の事にて、美々しき服装、われに於いて何のうらやましき事も無之、全く黙殺し去らんと心掛申候えども、この人物は身のたけ六尺、顔面は赤銅色に輝き腕の太さは松の大木の如く、近所の質屋の猛犬を蹴殺したとかの噂も仄聞致し居り、甚だ薄気味・・・ 太宰治 「花吹雪」
・・・ またしばらく黙っていたのち、重吉がいかにも笑止千万という顔つきで、「この小説、もしもさきでことわって来なかったら、ひろ子はのせていいと思ったのかい」「のせたい、と思ったのじゃあないのよ。のせた方がいいだろう、そう思ったのね。あ・・・ 宮本百合子 「風知草」
・・・第三の満鉄讚美にいたっては、笑止千万である。この社会ファシストの代表は、満鉄が不明の活動を援助しているというようなさかさまごとを臆面なく披瀝して軍事活動を合理化している。又「不幸な犠牲者群」として、朝鮮農民避難者に対し感傷的な辞句をならべて・・・ 宮本百合子 「文芸時評」