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・・・七分三分、あるいは六分四分に米麦を混合して常食としている農民は、平常から栄養摂取を十分にやっているわけだが、一年中食うだけの麦を持っている者も、組合から配給される平麦を買って、持っている麦があまるならそれは玄麦で売れというのである。誰れにも・・・
黒島伝治
「外米と農民」
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・・・ここには石浦というところに大きい邸を構えて、田畑に米麦を植えさせ、山では猟をさせ、海では漁をさせ、蚕飼をさせ、機織をさせ、金物、陶物、木の器、何から何まで、それぞれの職人を使って造らせる山椒大夫という分限者がいて、人なら幾らでも買う。宮崎は・・・
森鴎外
「山椒大夫」