・・・すると、日本帝国主義は軍隊をさしむけ、飛行機、山砲、照明砲、爆弾等の精鋭な武器で蕃人たちを殺戮しようとした。その蕃人征伐に使われたのも兵士たちだ。 兵士たちは、こういう植民地の労働者を殺戮するために使われ、植民地を帝国主義ブルジョアジー・・・ 黒島伝治 「入営する青年たちは何をなすべきか」
・・・平凡陳套な事実をいかに修辞法の精鋭を尽くして書いてみても、それが少なくもちゃんとした科学者の読者に「おもしろい」というはずがないのである。そういう種類のものにはやはり必ず何かしら独創的な内察があり暗示があり、新しい見地と把握のしかたがあり、・・・ 寺田寅彦 「科学と文学」
・・・これらの設備の中にはいずれも最高の科学の精鋭を集めた基礎的研究機関を具備しているのである。しかるにまだ日本のどこにも一つの理化学的火災研究所のある話を聞いた覚えがないのである。 もちろん警視庁には消防部があって、そこでは消防設備方法に関・・・ 寺田寅彦 「函館の大火について」
・・・ いかに現在の計測を精鋭にゆきわたらせることができたとしても、過去と未来には末広がりに朦朧たる不明の笹縁がつきまとってくる。そうして実はそういう場合にのみ通例考えられているような「因果」という言葉が始めて独立な存在理由を有するという・・・ 寺田寅彦 「野球時代」
・・・当時の文学のありようから、真の新進、精鋭は見出し難く、受賞の範囲は、それぞれの作家の若々しい未来を鼓舞し祝福する方向に赴かず、寧ろ、多難な文学の道をこれまでの何年間か努力をつづけて今日に到っているという作家への、慰労賞めいたものとなった。文・・・ 宮本百合子 「今日の文学と文学賞」
・・・世界の人民の解放と民族自立との社会主義達成のために、ソヴェトの生産労働に従う精鋭な前衛と、各国内の前進している労働者とは一身同体だ。まして、ソヴェトの五ヵ年計画の進行と、資本主義国の経済恐慌との開きはますます地球上ただ一つのプロレタリアの国・・・ 宮本百合子 「ソヴェト文壇の現状」
・・・由来一つの大衆的な運動というものが、真の精鋭のみの小団結ではなく、そのものの周囲に幅広く種々雑多の人間を引きつれて、塵埃も残滓もそれぞれの時代の歴史性に従って残しつつ更に大きなプラスを持って積極的な進歩のための役割を果すものである。一人一人・・・ 宮本百合子 「ヒューマニズムへの道」
・・・と驚いた平凡な市民の逸話からさえ、精鋭なプロレタリア作家はこんにちの抑圧的支配形態の偽瞞を曝露し得ることを理解しなければならないのである。 さて、ここまで書いてきて、十一月『中央公論』の「青年」続篇をひろげた。林は「青年」第二篇にお・・・ 宮本百合子 「文学に関する感想」
・・・ごく大ざっぱに見て、小林秀雄、林房雄、河上徹太郎、横光利一、室生犀星氏等のように、今日あるままの分裂の形に於て、作家の側からより文化水準の低い民衆を眺め、官吏、軍人、実業家中の精鋭なる人士が情熱を示している刻下の中心問題を文学の中心課題とし・・・ 宮本百合子 「文学の大衆化論について」
古橋広之進君をはじめ五名の水泳代表選手が、来る十一日のパンアメリカ号で渡米する。全米水上選手権大会へ、これらの日本の若い精鋭が出場するようになったことは全日本の明るい関心をあつめている。合宿先である福田屋旅館の板前さんまで・・・ 宮本百合子 「ボン・ボヤージ!」
出典:青空文庫