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・・・替うるにも強烈に清新を感ずるのである、客を迎えては談話の興を思い客去っては幽寂を新にする、秋の夜などになると興味に刺激せられて容易に寐ることが出来ない、故に茶趣味あるものに体屈ということはない、極めて細微の事柄にも趣味の刺激を受くるのである・・・
伊藤左千夫
「茶の湯の手帳」
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・・・おとよの念力が極々細微な径路を伝わって省作を動かすに至った事は理屈に合っている。「おとよさんは、わたしがいくとそりゃ嬉しがるの、いくたびにそうなの、人がいないとわたしを抱いてしまうの、それでわたしが帰る時にはどうかすると涙をこぼすの」・・・
伊藤左千夫
「春の潮」