・・・彼等は、それを、支配者が農民の観念の統帥としてあてがって置いた悪魔という文句で表現して、機械を地主へ返却したのであった。 ソヴェト権力の下で、村ソヴェトをもちながら農民が機械に対しては懐疑的であるのは、或る種の農民作家が認めたようにそれ・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・ こういうたちのツルゲーネフを器用なヴィアルドオ夫人が自身の芸術上の教養やパリの爛熟し、錯綜した社会の間で練られた世渡りの術やによって、こまごまと、嘘とまことを綯いまぜつつ賢く統帥して行ったであろう光景は、さながら一幅の絵となって髣髴と・・・ 宮本百合子 「ツルゲーネフの生きかた」
・・・貴族は武力を統帥し、僧侶は貴族階級のイデオローグとして最高の文化活動を担任していた。だからラテン語で書かれたその頃の文学は、どんな馬子によっても書かれなかった。ただ僧侶のものだった。当時は文盲の王があり貴族があった。 日本の現在までの婦・・・ 宮本百合子 「プロレタリア婦人作家と文化活動の問題」
・・・ 第二に、こういう神秘主義は自然と人間との関係の積極性を否定し、人間精神を、運命、目に見えない力の統帥に甘んじさせようという点に、革命的な大衆のより自覚しようとする世界観に霧をかける毒素をもっている。こういう神秘主義を様々の形にかえてコ・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
出典:青空文庫