・・・日本の開化期の文化に関係ある統計のあるものは極めて意味深く近代日本というものの本質を示していると思う。犯罪統計のうち破廉恥罪以外で投獄された人民の第一位を、新聞取締法違反によって告発された執筆者たちが占めていたのである。 ・・・ 宮本百合子 「明日への新聞」
・・・本年ぐらいから、統計の上にもはっきり、専門学校を受験する女子学生の層がかわって、新円成金の娘さんがふえて来ています。普通の家庭の娘さんはアルバイトを考えずに、専門学校の生活を考えることは不可能になりました。アルバイトを二つもって医学の勉強を・・・ 宮本百合子 「新しい卒業生の皆さんへ」
・・・日配の統計の純文学では「細雪」が第一位です。わたしたちはここでもやっぱり客観的でなくてはいけないと思います。前に、日本の新しいファシズムの一つの現れとして、ルポルタージュに名をかりた戦記もの、秘史に名をかりた皇道主義軍国主義の合理化的宣伝の・・・ 宮本百合子 「新しい抵抗について」
・・・工場に働いている男女、会社員、職業婦人、学生、農家、商家それぞれの献立と、今たべたいものを統計して示している。甘いものと天ぷらが食べたいものの圧倒的多数を占めている事実も、私たちの実感に通じている。 この食べもの調査は相当こまかに分類も・・・ 宮本百合子 「「うどんくい」」
・・・古いものが棄てられて新しいものが――といっても気持の統計がとれるものならば、結婚など真に新しい気持でやっている人は極僅だと思うのです。 結婚する女の人達にしても、それが、つまらないと分っていながら、どっちにしても同じことだというよう・・・ 宮本百合子 「男が斯うだから女も……は間違い」
・・・ これまでも、たとえばプロレタリア美術家は展覧会入場者の職業別統計はとったことがあった。音楽のサークルへ参加して来る若い人々の労働の種類は類別された。しかし、さらにもう一歩踏みこんで、もっと科学的な方法で、一定の労働、その労働によるエネ・・・ 宮本百合子 「芸術が必要とする科学」
・・・これは、日本の失業統計のレコード破りである。これだけの人数が、みんな一ヵ月世帯主三〇〇円、家族数一人につき一〇〇円ずつの預金をどこからか下げて、あらゆる三倍ずつの生計費をまかなって暮し、花見をして、上機嫌で平和の春がうたえるものだと、かりそ・・・ 宮本百合子 「現実の必要」
・・・リーダーズ・ダイジェストをはじめ、日本人が日本で出す新聞や雑誌でも、アメリカの世論統計を引用する場合には、しばしばギャラップの世論調査をつかい、ギャラップの調査の科学性と確実性とが語られた。 大体、これまでの日本には統計さえろくなのがな・・・ 宮本百合子 「現代史の蝶つがい」
・・・ モラトリアムの決定によって、五人家族を標準に、五百円生活をしろということに規準が置かれたのですが、この五人家族というのは、なぜこんなふうに標準をたてたかと申しますと、日本の一軒の家の子供の統計は、年々殖えておりますが、多いところもある・・・ 宮本百合子 「幸福について」
・・・ 一例として、出版に関する統計を見よう。印刷一折を標準として、 一九二七年 一、七五七、〇〇〇、〇〇〇 一九二八年 二、一五八、〇〇〇、〇〇〇 一九二九年 二、六六一、〇〇〇、〇〇〇世界で、どこが一番・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェト同盟の文化的飛躍」
出典:青空文庫