・・・民主主義文学運動の中に、労働者階級の使命を明らかにして、おのずからプロレタリア文学の伝統のどの部分が継承されなければならないか、という点を押し出すことは、そのたたかいの中にとかされた。一つには、もとのプロレタリア文学時代活動した人々が、当然・・・ 宮本百合子 「五〇年代の文学とそこにある問題」
・・・しかし、その復興さるべき文学は、文学一般を漠然とさしたのであって、過去十年の間に重ねられて来た新しい文学の見解を継承し発展させようとするものではなかった。現実の認識の方法とか芸術の基準とか、そんなものはどうでもいい。作家は書いてさえいればい・・・ 宮本百合子 「昭和の十四年間」
・・・この面は、プロレタリア文学の遺産の継承に関する討論と等しく、わたくしには非常に静的に論議されていると感じられました。例えば、組合の闘争において、権力との闘いにおいて、プロレタリアートの全線にプラスするどんな小さな成果も、わたしたちはそれを念・・・ 宮本百合子 「討論に即しての感想」
・・・そして今日パブロフの偉大な発見の継承者たちは、人間という生物の発展に於ける独特な機能として、パブロフが発見した犬と等しい第一次命令体と共に、もっと深くもっと微妙に人間生活に影響する第二命令体のあることを証明した。犬はその餌を持って来る人が何・・・ 宮本百合子 「人間の結婚」
・・・世界の人民的な民主主義の本質にしたがって、日本の民主主義文学運動もその主力を労働者階級の文学におき、世界と日本のプロレタリア文学運動の成果を批判し継承しながら、多様でひろい人民層の民主的意欲を表現する新鮮な文学をもとうとする方向に発足した。・・・ 宮本百合子 「婦人作家」
・・・れためぐりあわせではなく階級発展の歴史におけるある時期までは、すべてのインテリゲンチア、勤労者がことごとく既成の文化、芸術との関係ではそのような過程を通るのが必然であり、文学における過去の遺産の積極的継承の課題が常にいきいきとして、困難な課・・・ 宮本百合子 「文学における古いもの・新しいもの」
・・・一つの氏族内の母方の子供は、先任の酋長が男であろうと女であろうと選挙されればその地位を継承する権利を持っていた。このことは、もうその頃から女の力が、産業と毎日を生きてゆく家事との上で、どれ程大切な役目を持っていたかということを証明している。・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
出典:青空文庫