・・・日本出版協会は、「出版綱領実践委員会」というものをもって、出版の質の向上を計るということでした。その時、出版綱領実践委員会は、法律を変更し、新しい法律をこしらえることを要求してでもエログロ雑誌の出版はとりしまるようにと、はげまされたようでし・・・ 宮本百合子 「「チャタレー夫人の恋人」の起訴につよく抗議する」
・・・書簡は更に不自由そうに「哲学者は世界を様々に解釈して来た、しかし重要なことは云々というフォイエルバッハ綱領の中のマルクスの言葉はそのまま芸術の場合にもあてはまります。芸術はこの世界をあるがままに描写していればよいのではありません。この意味で・・・ 宮本百合子 「バルザックに対する評価」
・・・婦人に関係する綱領がつくられる仕事があった。「長井さん、あなたが引こんでいるってことはないわ、出なさいよ」「ええ。――そうも思うんだけれどもね、……」 かたまって話し合いながら階段をおりてゆく婦人たちは、主に、十月十日にかえった・・・ 宮本百合子 「風知草」
・・・私たち婦人の幸福をもたらすために、真面目でうそのない具体的な綱領をかかげている共産党から、大町さんが立ったことを、心からよろこびといたします。こんなに純情な女の生活の苦労を知りつくして立ちあがっている大町米子さんこそは、私たちの大切な一票を・・・ 宮本百合子 「婦人の皆さん」
・・・女学校は綱領として経済的寄生者である良妻をつくることを目標としている。生産単位として男と同じ熟練技術者をつくろうとは決してしない。 あらゆる分野で、男より低廉な賃銀で過労し、母性の重荷を負った不熟練技術者としての婦人を準備しつつある。そ・・・ 宮本百合子 「プロレタリア婦人作家と文化活動の問題」
・・・やはり立会演説の公開の席上で、社会主義即時断行と天皇制護持と、決して両立し得ない二つのことを並べて綱領としている一政党の立候補者、執行委員の某氏は、聴衆の面前で、個人としての見解は必ずしも自分の属す政党の意見とは一致していないが、党代表とし・・・ 宮本百合子 「矛盾とその害毒」
・・・吾人の四綱領は武士道の真髄でありソシアリティの変態であろう。しかれどもこの美名の下に隠れたる「美ならざる」者ははたして存在せざるか。向陵の歴史は栄あるものであろう。しかれどもこの影に潜める悪習慣を見よ! 吾人はあえて一二の例を取る。そもそも・・・ 和辻哲郎 「霊的本能主義」
出典:青空文庫