・・・』――『チャプリン氏を総裁に創立された馬鹿笑いクラブ。左記の三十種の事物について語れば、即時除名のこと。四十歳。五十歳。六十歳。白髪。老妻。借銭。仕事。子息令嬢の思想。満洲国。その他。』――あとの二つは、講談社の本の広告です。近日、短篇集お・・・ 太宰治 「虚構の春」
・・・『世界の顔』で、国際的信望を失いつつある鳩山一郎氏が、自由党という第一党の首領であり得ることも、おどろかれるし、現職のまま幣原首相が進歩党の総裁となって入党したことも、民主とはかかることにさえつけられる名称かと、日本の民主主義の異常さに、目・・・ 宮本百合子 「一票の教訓」
・・・その世論調査では、吉田総裁の民主自由党が第一位を占めていた。『毎日新聞』の発行部数は百万と二百万の間と云われている。日本では、まだ新聞とラジオは天下の真実しかつたえないものだと信じている素朴で正直な人々がどっさりある。政府のいうことなんか信・・・ 宮本百合子 「現代史の蝶つがい」
・・・ 国鉄整理にからんでおこった下山国鉄総裁の死は、最大限に政府の便宜のために利用された。共産党に関係のある兇悪な犯罪事件のように挑発され、一部の知識人さえその暗示にまきこまれた。ところが他殺でないことがわかったきょうでも、まだ死者に対・・・ 宮本百合子 「権力の悲劇」
・・・下山国鉄総裁の行方不明事件が告げられた。そして、六日午前五時すぎ、小菅刑務所のわきの五反野南町のガード下で、無残な轢死体としての下山総裁が発見された。 日本じゅうに非常なセンセーションがまきおこった。五日の午前九時すぎ下山総裁が三越で自・・・ 宮本百合子 「「推理小説」」
・・・治安維持法のギセイ数万人、共産党の内に入りこませたスパイ組織の功績によって彼は勲章を貰い、企画院総裁になったのです。そういう人が果して、人道的に、道義的に云って無罪でしょうか。私たちがあの人たちをここに立たせて、おじぎをすることが出来るでし・・・ 宮本百合子 「平和運動と文学者」
・・・そのつぎの年に、六十五になる滄洲翁は飫肥の振徳堂の総裁にせられて、三十三になる仲平がその下で助教を勤めた。清武の家は隣にいた弓削という人が住まうことになって、安井家は飫肥の加茂に代地をもらった。 仲平は三十五のとき、藩主の供をして再び江・・・ 森鴎外 「安井夫人」
・・・ある日、梶は東北の疎開先にいる妻と山中の村で新聞を読んでいるとき、技術院総裁談として、わが国にも新武器として殺人光線が完成されようとしていたこと、その威力は三千メートルにまで達することが出来たが、発明者の一青年は敗戦の報を聞くと同時に、口惜・・・ 横光利一 「微笑」
出典:青空文庫