・・・ さらに昨今の特徴として目立つ傾向はデカダニズム、またはエロティシズムです。織田作之助、舟橋聖一、北原武夫、坂口安吾その他の人々の作品があります。 個々の作家についてみればそれぞれ異った作風、デカダンスの解釈とエロティシズムへの態度・・・ 宮本百合子 「一九四六年の文壇」
・・・ 永井荷風によって出発したジャーナリズムは、インフレーションの高波をくぐって生存を争うけわしさから、織田作之助、舟橋聖一、田村泰次郎、井上友一郎、その他のいわゆる肉体派の文学を繁栄させはじめた。池田みち子が婦人の肉体派の作家として登場し・・・ 宮本百合子 「婦人作家」
・・・情景のとらえかたは極めてメロドラマティックで、このごろの大衆小説の一部にあらわれているヤミやものにやや近くなった。織田作之助が書いた小説のあるもののようにこしらえた筋で小説を動かしてゆくことは、文学を勉強しようとする人にとって警戒しなければ・・・ 宮本百合子 「予選通過作品選評」
・・・政治の主権は藤原氏から足利に移りやがて織田信長の時代になって日本では、封建社会が確立される一歩をしるした。 豊臣秀吉を経て、徳川家康から家光の時代に、日本の封建制度は全く動かないものとなり、明治に至ったのであった。 武家時代、婦人の・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
・・・そうして後に織田信長にとっての最大の脅威となるだけの勢力を築き上げたのである。『朝倉敏景十七箇条』は、「入道一箇半身にて不思議に国をとりしより以来、昼夜目をつながず工夫致し、ある時は諸方の名人をあつめ、そのかたるを耳にはさみ、今かくの如くに・・・ 和辻哲郎 「埋もれた日本」
出典:青空文庫