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・・・いつの時代だって、女のみならず男をこめて、人間の美質の一つとして考えられて来た。質実な美感の深さ、そこにある抒情性のゆたかさというようなものは、人間の心にたたえられる情感のうちでも高いものの一つである。 あの人たちは、今これ迄とはちがっ・・・
宮本百合子
「新しい美をつくる心」
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・・・所謂文壇人の領域で、人間性についての二元的な感じ方は、作家でない種類の人間的美質というようなものだけを抽象して来て感服する昨今の風となって現われて来ている。 最近、それについて興味ふかい二種の実際の場合があった。一つは、左翼的な或る作家・・・
宮本百合子
「文学の大衆化論について」