・・・ 結局は、やればやり得る学位を、無用な狐疑や第二義的な些末な考査からやり惜しみをするということが、こういう不祥事やあらゆる依怙沙汰の原因になるのである。たとえ多少の欠点はあるとしても、およそ神様でない人間のした事で欠点のないものは有り得・・・ 寺田寅彦 「学位について」
・・・ これらの根気くらべのような競技は、およそ無意味なようでもあるが、しかし人間の気力体力の可能限度に関する考査上のデータにはなりうるであろう。場合によってはある一人のこういう耐久力のいかんによって一軍あるいは一国の運命が決するようなことが・・・ 寺田寅彦 「記録狂時代」
・・・参議院の考査委員会は、永井隆氏を表彰しようという案を発表したが、六月十二日、七月三日の週刊朝日は、カソリック教徒であるこのひとの四つの著書が、それぞれにちがった筆者であるというようにいっている。 記録文学のあるものは、クラブチェンコの「・・・ 宮本百合子 「ことの真実」
・・・ 入学試験の新考査法についてこの春様々の論調があったとき、衆口おのずから一致したのは、小学教員のおかれている経済的誘惑の点であった。 謹直な教師たちに屈辱感を与えたにちがいないその問題は、しかし、愈物的条件の切迫した来春どんな形で再・・・ 宮本百合子 「女性週評」
・・・どんな内容にしろ、教義問答のようなものが出来れば、人物考査の本質は損われるのだろう。 内申には同点が多すぎる。最後の一点は体力で、と一粒ハリバの広告がこの頃電車に貼られているのを見て、それを新しい日本のほこりと思う人があるだろうか。商売・・・ 宮本百合子 「新入生」
・・・政府のこしらえている特別考査委員会というものは、その委員会での討論ぶりを見てもわかるように、特別な考慮のための委員会の本質をもっているから、政党としての共産党は、その応答ぶりにおいて、必ずしもいつもわたしたちの希望するだけ率直ではあり得ない・・・ 宮本百合子 「それに偽りがないならば」
・・・ よりよく生きるため、より美しく平和に伸びるために必要な積極政策は圧しつけて、一方では考査特別委員会、非日委員会、新聞用紙割当改正、更にあらゆる方法での買収を可能にするような選挙法改正と、多数をたのむいまの政府のねらいどころはどこに向っ・・・ 宮本百合子 「平和をわれらに」
出典:青空文庫