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・・・九歳になる女の子は裁縫用の鋏で丁寧に一尺四方ぐらいの部分を刈りひらいて、人差し指の根もとに大きなかわいい肉刺をこしらえていた。 いろいろの時刻にいろいろの人が思い思いの場所を刈っていた。人々の個性はこんな些細な事にも強く刻みつけられてい・・・
寺田寅彦
「芝刈り」
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・・・我々があの人は肉刺の持ちようも知らないとか、小刀の持ちようも心得ないとか何とか云って、他を批評して得意なのは、つまりは何でもない、ただ西洋人が我々より強いからである。我々の方が強ければあっちこっちの真似をさせて主客の位地を易えるのは容易の事・・・
夏目漱石
「現代日本の開化」