-
これは、いま、大日本帝国の自存自衛のため、内地から遠く離れて、お働きになっている人たちに対して、お留守の事は全く御安心下さい、という朗報にもなりはせぬかと思って、愚かな作者が、どもりながら物語るささやかな一挿話である。大隅・・・
太宰治
「佳日」
-
・・・空間的関係の名を与えるのであります。だからしてこれも両意識の間に存する一種の関係であって、意識そのものを離れて空間なるものが存在しているはずがない。空間自存の概念が起るのはやはり発達した抽象を認めて実在と見做した結果にほかならぬ。文法と云う・・・
夏目漱石
「文芸の哲学的基礎」