・・・所詮、美は、正しいことであり、正義に対する感激より、さらに至高の芸術はないと信じたのは、その頃のことでありました。 文壇というものがあって、そこに於て取扱われる問題は、何なりとも、私は、それに係わらず、自己の思念を抂げず、広い社会に向っ・・・ 小川未明 「自分を鞭打つ感激より」
・・・そして、無産者にしてはじめて、人生を見る、至高、至醇な感激があるからであります。 レーニンの革命が、よしや形の上に於て失敗する時があったとしても、クレムリンの聖者としての彼は、後世いかなる感化を人心に及ぼすであろうか。 いまは既に昔・・・ 小川未明 「民衆芸術の精神」
・・・全文省略 八唱 憤怒は愛慾の至高の形貌にして、云々「ちょっと旅行していました留守に原稿やら、度々の来信に接して、失礼しました。が、原稿は相当ひどい原稿ですね。あれでは幾らひいき目に見ても使えません。書き直して貰っても・・・ 太宰治 「二十世紀旗手」
・・・批評家自身の芸術観から編み上げた至美至高の理想を詳細に且つ熱烈に叙述した後に、結論としてただ一言「それ故にこれらの眼前の作品は一つも物になっていない」と断定するのもある。そういうのも面白いが、あまり抽象的で従って何時の世のどの展覧会にでも通・・・ 寺田寅彦 「帝展を見ざるの記」
・・・この還元的感化は文芸が吾人に与え得る至大至高の感化であります。機縁が熟すと云う意味は、この極致文芸のうちにあらわれたる理想と、自己の理想とが契合する場合か、もしくはこれに引つけられたる自己の理想が、新しき点において、深き点において、もしくは・・・ 夏目漱石 「文芸の哲学的基礎」
出典:青空文庫