・・・き事であろう、礼儀と興味と相和して乱れないとせば、聖人の教と雖も是には過ぎない、それが一般の風習と聞いては予は其美風に感嘆せざるを得ない、始めて此の如き美風を起せる人は如何なる大聖なりしか、勿論民族の良質に基くもの多からんも、又必ずや先覚の・・・ 伊藤左千夫 「茶の湯の手帳」
・・・しかし私としては非常に、わずかのことしか知っていませんので、至極ぼんやりと、一九二九年以後アメリカの繁栄が蒙った変化につれて変化した文学、次第に成長し、ヨーロッパの良質な人をどんどんうけ入れてニュアンスを深めて来る「アメリカの明るさ」がどん・・・ 宮本百合子 「アメリカ我観」
・・・ここでは、海の中へ、中へと掘りすすむほど良質な石油が量も沢山出るのが特徴なのだそうである。 櫓から眺めると、風の中にはあっちにもこっちにも微かな音を立てて自動汲出しをしている櫓ばかりで、人影は大して見当らない。作業が機械化され労働者一人・・・ 宮本百合子 「石油の都バクーへ」
・・・最も進歩した良質の文化人は、今日、文化生産者としての社会的責任を自覚しはじめている。産別のうちで文化面に密接な勤労者が、自分たちの職場の機能を、最も自主的文化財として自覚することこそ自然な発展である。〔一九四七年三月〕・・・ 宮本百合子 「文化生産者としての自覚」
出典:青空文庫