・・・愛すべき三汀、今は蜜月の旅に上りて東京にあらず。…………小春日や小島眺むる頬寄せて 三汀 芥川竜之介 「久米正雄」
・・・結婚後の恋愛は蜜月や、スイートホームの時期をへて、次第に、真面目な地についた人生の営みのなかにはいってゆく。こうして夫婦愛が恋愛の健全な推移としてあらわれてくる。それは恋愛の冷却というべきものではなくして、自然の飽和と見るべきものだ。少なく・・・ 倉田百三 「女性の諸問題」
・・・一ヵ月の蜜月のために、田園の大きい館が用意されたのは、イギリスでもエリザベス王女ぐらいのものであろう。結婚しましょうよ、というわかい人々の決心は、すぐつづいて、でも家は? と問題にぶつかる。仕方がないから当分親たちと同居ということになったと・・・ 宮本百合子 「離婚について」
出典:青空文庫