《「かわほり」の音変化》
1 翼手目の哺乳類の総称。前あしおよびその指が著しく発達し、これらと胴・後あし・尾との間にうすい飛膜が張って翼を形成する。視覚は鈍いが、声帯から超音波を発して、その反響を聞きながら障害物との距離をはかり、鳥のように飛び回る。夜行性。昼間は、後あしにある5本の指の鋭いかぎ状の爪で、木や岩などにぶら下がる。名は、蚊をよく捕食するところから、蚊屠 (かほふ) りと呼ばれたのが語源。アブラコウモリ・キクガシラコウモリやオオコウモリなど約950種が世界に分布。かくいどり。かわほり。《季 夏》「―やひるも灯ともす楽屋口/荷風」
2 《鳥かけものか区別しにくいところから》態度のはっきりしない者。状況次第で有利な側についたりする者をののしっていう語。
3 「こうもり傘」の略。
出典:青空文庫
・・・、それはきっと大きな蝙蝠か何かが、蒼白い香炉の火の光の中に、飛び・・・ 芥川竜之介「アグニの神」
・・・×胡同の社宅の居間に蝙蝠印の除虫菊が二缶、ちゃんと具えつけてある・・・ 芥川竜之介「馬の脚」
・・・また、鋳掛屋松五郎が蝙蝠の飛びかう夏の夕ぐれに、天秤をにないなが・・・ 芥川竜之介「大川の水」