・・・あぢきなや椿落ち埋む庭たつみ痩臑の毛に微風あり衣がへ月に対す君に投網の水煙夏川をこす嬉しさよ手に草履鮎くれてよらで過ぎ行く夜半の門夕風や水青鷺の脛を打つ点滴に打たれてこもる蝸牛蚊の声す忍冬の花散るたびに青・・・ 正岡子規 「俳人蕪村」
・・・「きっともて、こいづあ大きな蝸牛の旱からびだのだな。」「さあ、いいが、おれ歌うだうはんてみんな廻れ。」 その鹿はみんなのなかにはいってうたいだし、みんなはぐるぐるぐるぐる手拭をまわりはじめました。「のはらのまん中の めつけも・・・ 宮沢賢治 「鹿踊りのはじまり」
・・・何年か前穂積重遠博士が民法改正委員会を組織して、『民法読本』という本も著し、民法における婦人の地位の改善のための努力を試みたが、明治以来の保守的な日本の支配権力は、この委員会の仕事を、蝸牛の這うようなテンポで引っぱった。 第二次大戦の間・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
出典:青空文庫