袖打ち合わす
かしこまって左右の袖を寄せ合わせる。相手に対する敬意を表す。袖掻き合わす。「—・せて立ちたるこそをかしけれ」〈枕・七六〉
袖返す
1 袖を裏返しにする。こうして寝ると、夢に恋人が現れるという俗信があった。「我妹子 (わぎもこ) に恋ひてすべなみ白たへの—・ししは夢に見えきや」〈万・二八一二〉 2 舞うときなどに、袖をひるがえす。「のどかに—・す所を」〈源・花宴〉
袖反る
袖や袂 (たもと) が風にひるがえる。
袖掻き合わす
「袖打ち合わす」に同じ。「少将—・せ、生きたる人に物を申すやうに、泣く泣く申されけるは」〈平家・三〉
袖片敷く
片袖を敷いて寝る。独り寝をする。袖を片敷く。「別れにし妹が着せてしなれ衣—・きてひとりかも寝む」〈万・三六二五〉
袖すり合うも多生の縁
「袖振り合うも多生の縁」に同じ。
袖に時雨る
袖に時雨が降りかかる。袖に涙が落ちるたとえ。「我ながら思ふか物をとばかりに—・るる庭の松風」〈新古今・雑中〉
袖に縋る
袖にとりついて哀れみを請う。助けを求める。「知人の—・って命をつなぐ」
袖にする
親しくしていた人をないがしろにする。冷淡にあしらう。「恋人を—◦する」
袖に露置く
露がかかって袖がぬれる。また、涙で袖がぬれる。「草の葉にあらぬたもとも物思へば—・く秋の夕暮れ」〈山家集・下〉