さいばんいん【裁判員】
1 裁判員制度において、国民から選出され刑事裁判に参加する人。 [補説]衆議院選挙の選挙人名簿を使用して無作為に選ばれた候補者の中から、裁判所の選任手続きを経て選任される。原則として辞退できないが、70歳以上の高齢者や学生のほか、重い病気やけが、育児・介護など家庭の事情、妊娠や出産への立ち会い、事業に著しい損害を生じるおそれがある、など一定のやむを得ない理由がある場合は辞退できる。裁判員は最大で6名が選ばれ、法廷では裁判官の左右に3名ずつ座り、被告や証人に直接質問することもできる。審理後、別室で裁判官とともに評議し、有罪・無罪、および量刑を判断する。意見が分かれた場合は多数決で決めるが、被告人に不利益な判断をする場合は、裁判官1名以上の賛成が必要となる。守秘義務があり、他の裁判員の氏名や評議の内容などを明かすことは禁じられている。違反すると6か月以下の懲役または50万円以下の罰金を科せられる。 2 弾劾裁判所で裁判を行う国会議員。衆参両院で、それぞれ議員の中から選挙により7名ずつ合計14名が選任される。裁判長は裁判員の互選により選任される。
さいばんいんせいど【裁判員制度】
衆議院議員の選挙人名簿の中から無作為に選ばれた候補者から、裁判所の選任手続きを経て選出された裁判員が、刑事裁判に参加し、裁判官とともに無罪・有罪を決め、有罪の場合は量刑を行う日本の裁判制度。平成21年(2009)5月21日から施行。地方裁判所で審理する、死刑または無期懲役・禁錮にあたる重大な犯罪(殺人・傷害致死・危険運転致死など)に適用される。事件ごとに6名の裁判員が選任され、3名の裁判官とともに公判を担当する。→裁判員 [補説]市民が裁判に参加する制度として、諸外国では陪審制度と参審制度がある。陪審制度は英国・米国などで採用されており、事件ごとに無作為に選任される陪審員のみで有罪・無罪の判断を行い、量刑は裁判官が行う。参審制度はドイツ・フランス・イタリアなどで採用されており、任期制で選ばれた参審員が、裁判官と共同で有罪・無罪および量刑の判断を行う。日本の裁判員制度は、裁判員が事件ごとに無作為に選任される点では陪審制度に近いが、裁判員が裁判官と共同で犯罪事実の認定と量刑を行う点では参審制度に近い。
さいばんいんほう【裁判員法】
《「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」の略称》一定の重大な刑事事件の裁判に国民が参加して裁判官とともに審理や評議を行う裁判員制度について定めた法律。国民に身近で利用しやすい司法制度を実現するために平成11年(1999)から始まった司法制度改革の一つとして、平成16年(2004)に成立し、平成21年(2009)に施行された。
さいばんがいふんそうかいけつてつづき【裁判外紛争解決手続(き)】
調停・仲裁・斡旋 (あっせん) など、訴訟を起こさずに中立的な第三者が介入して紛争を解決する方法。裁判所による民事調停や弁護士会・業界団体による解決策の提案など。裁判外紛争処理。代替的紛争解決。ADR(alternative dispute resolution)。
さいばんがいふんそうしょり【裁判外紛争処理】
⇒裁判外紛争解決手続き
さいばんかん【裁判官】
裁判所の構成員として裁判事務を担当する国家公務員。最高裁判所長官・最高裁判所判事・高等裁判所長官・判事・判事補・簡易裁判所判事の6種がある。憲法と法律にのみ拘束され、良心に従い独立してその職権を行う。
さいばんかんかつ【裁判管轄】
1 複数の裁判所間での裁判権の分掌に関する定め。 2 国際法上、条約によって国際裁判所が取り扱うことができるとされる範囲。
さいばんかんそついいいんかい【裁判官訴追委員会】
職務上の義務違反や非行による裁判官の罷免の訴追を行う機関。衆参両議院の議員各10名の委員で組織される。訴追委員会。→弾劾裁判所
さいばんかんだんがいさいばんしょ【裁判官弾劾裁判所】
⇒弾劾裁判所
さいばんかんだんがいほう【裁判官弾劾法】
裁判官の弾劾について、罷免の理由、訴追および裁判の手続きなどを定めている法律。昭和22年(1947)施行。