・・・当時あのように禁じられていた話題をとりあげる以上は、主人公がリベラリストであるという裏書をその国民学校の先生の話によって与えさせている。手のこんだアリバイの示しかたです。 ここに「北岸部隊」というものを書いた一人の作家があります。農村か・・・ 宮本百合子 「一九四六年の文壇」
・・・それが、当時では、云い難い一種のセンセーションを起させることで、自分の入学しようと言明する学校の名によって、その人の学術に対する自信が、裏書せられるように感じるのであった。 皆の入ろうとする処が判ると、暗黙の競争が行われ始める。一日おき・・・ 宮本百合子 「入学試験前後」
・・・この様な、世に出てから時の少しほか立たない私でさえ、生活の苦しみを少しも感じた事のない私でさえ、どうしても受け入れる事の出来ない裏書のある親切に会う事はかなり度々である。 子供達から云えば、私は真の路傍の人である、あかの他人である。いき・・・ 宮本百合子 「農村」
・・・パンコフが裏書きする。「貴方はあの犬にとっちゃ、喉にひっかかった骨だからね」「だが俺には友達もある――それが君の友達になるだろう」 ゴーリキイにはロマーシの平静で、単純で、重味のある言葉が気に入った。何故、自殺しようとしたのだ、・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの伝記」
出典:青空文庫