・・・政府は重要産業の補償をうち切って、百万人の失業者を出すそうだが、その百万人の人々とその家族、その主婦たちにとって、この威風にみちた秋田の稲田のことしのみのりは、どういうものになって現れるのだろう。 政府がきめる土地調整法案で地主は必ずし・・・ 宮本百合子 「青田は果なし」
・・・政府は、モラトリアムまで布きながら、今だに、軍需産業への補償というようなことを云っている。「欠損をしている」のは、帳面づらだけだと、誰にも分りきった軍需生産者、つまるところは、戦争で儲けつくした者たちに、何故か幣原内閣は、なおも追銭をやらな・・・ 宮本百合子 「現実の必要」
・・・軍需補償のうち切りでは百万人が職をはなれるだろう。新聞はそう報じている。一方に、労働調整法が出来かかったりしているが、金融資本を守るためからの失業は誰にとっても脅かしの影となっていて、勤労大衆はまったく主権在民を実現して合理的に生産関係を独・・・ 宮本百合子 「郵便切手」
・・・それから軍需生産者に、補償金として支払われるということでもある。公債を私共の家庭で、どれ程持っているだろう。解説者は、大衆の中には一割位しか保有されていない公債であると言った。あとは大銀行、大企業家が保有している。その公債を償還するといえば・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
出典:青空文庫