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・・・あるという事は、すべての人間の構成した学説に共通なほとんど本質的な事であって、しかもそれがあるために直ちにその学説が全滅するというような簡単なものとは限らないし、むしろそういう点を認める事がその学説の補填に対する階段と見なすべき場合の多い事・・・
寺田寅彦
「相対性原理側面観」
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・・・ギラギラとわれ目が光っていても、それはどんなにひどく、補填しがたく鏡が粉砕してしまったかを語っているに過ぎない。このことは、落付いた精神をもってこのジイドの一文を読む人々の総てに容易に直感されることであろうと思う。 ジイドのこの文章の翻・・・
宮本百合子
「こわれた鏡」