・・・イタリーのようにファシズムでしめつけられた国で、今日婦人の民主的組織はきわめて大規模に発展しています。 日本は、なんと青春にとってむごい国だろうと思います。この頃の雑誌が性教育とか性に対する知識の普及とかいって扱っている記事の内容は、ど・・・ 宮本百合子 「新しい抵抗について」
・・・しかし社会事情の急調な動きは一つの必然として、自覚するとしないとにかかわらず、今日の婦人全体を新しい生活事情に導き入れており、そこではより社会的な規模で新しい生活能力の発揮されることを必要としており、新たな摩擦もおのずから生じて来ているので・・・ 宮本百合子 「新しい婦人の職場と任務」
・・・あの辺の自然はおう揚で規模の壮大な野放しの美に充ちているから、その位のありふれたロマンスでもきっとそうこせこせ極りわるい思いをさせずに存在させたでしょう。しかし、何という私はおばあさんに縁の深い人間だろう、私の拍子木に答えて来るのは、おばあ・・・ 宮本百合子 「田舎風なヒューモレスク」
・・・併し、全体として、見物は、その大がかりな規模にふさわしい深い感銘を、観覧後まで心に与えられたであろうか。 自分としてはかなり物足りなかった。勿論、退屈な時、手当り次第に雑誌でも繙くように其場かぎりな、相手にも自分にも責任をもたない気分で・・・ 宮本百合子 「印象」
・・・その大規模な歴史の廃墟のかたわらに、人民の旗を翻し、さわやかに金槌をひびかせ、全民衆の建設が進行しつつあるとはいいきれない状態にある。なぜなら、旧体制の残る力は、これを最後の機会として、これまで民衆の精神にほどこしていた目隠しの布が落ちきら・・・ 宮本百合子 「歌声よ、おこれ」
・・・有る無しはどのような社会的評価と見られる習慣であったか、殉死を許す主君の心理に、経済事情に迄及ぶどんな現実的な臣下への考慮もふくまれたかということなどを、殉死を許されなかった阿部一族の悲劇をとおして、規模大きく描き出しているのである。作品の・・・ 宮本百合子 「鴎外・芥川・菊池の歴史小説」
・・・ 食物の問題を、この社会にとっての公の問題としてとりあげれば、処罰されかねなかった習慣の中で、物が無くなったからと云って、どうして急に、その解決だけを、公の方法に立ち、社会全体の規模から、解決してゆこうという気持になれるでしょう。本・・・ 宮本百合子 「公のことと私のこと」
・・・リオンの絹織工が大規模のストライキを行ったのにつづいて、ブランキーの反抗があり、急速に発展した資本主義の矛盾に対して勤労階級の反抗が沸き立っていた。パリには、八万五千人ものドイツ亡命者がいた。当時のドイツの野蛮な圧迫が、人間らしく社会の幸福・・・ 宮本百合子 「カール・マルクスとその夫人」
・・・ さて、こういうように、日本の社会史の上でも画期的な規模と深さとをもってまきおこされた混乱に処して、わたしはおさなく、しかし純粋な憤懣で焼かれるしか心の表現の方法を知らなかった。一九三三年一月の『プロレタリア文学』に発表された「一連の非・・・ 宮本百合子 「解説(『風知草』)」
・・・ ナポレオン・ボナパルトのこの大遠征の規模作戦の雄大さは、彼の全生涯を通じて最も荘厳華麗を極めていた。彼は国内の三十万の青年に動員令に対する準備を命じた。更に健全な国内の壮丁九十万人を国境と沿海戦の守備に充てた。なおその上に、彼はフラン・・・ 横光利一 「ナポレオンと田虫」
出典:青空文庫